人と出会い、出来事に遭遇し、映画を楽しみ、花を愛で、本でいろいろな時空へ旅しました。
本に親しむ時間をそれほど多くとることができなかったので、本から飛びたてた時空と出会いは大満足と言えるほどではありませんでした。それでも、こんなにも魅かれる絵本作家さんに遭遇できたことはとても嬉しい出来事でした。その作家さんとは、junaidaさん。略歴を見ると有名な百貨店のイメージポスターを手がけるなどの経験もお持ちなので、ファンの方は多く、もしかすると私が出会えたのはかなり遅い出会いなのかもしれません。
junaidaさんを知ったきっかけは、新聞の書評欄でした。「Michi・みち」という作品でした。本の存在を知ってから、実際に手に取るのには少し時間が必要でした。超大型書店にはありましたが、近所の本屋さんでは扱いがなかったのです。書評で手に取りたいと思ったのとは、ちょっと違う印象でしたが、好きになったことに違いはなく、すぐに何度か絵本の中を行ったり来たり。両A面風な絵本で、みっちゃんやみち君のたどる道を追いながら楽しめる物語。見開きの絵一枚一枚を一つの作品として、詳細に描きこまれている絵をじっくり楽しむこともできます。色と不思議絵マジックも潜んでいる作品です。
あまりにも楽しい絵本だったので、ほかの作品もないかとすぐに探しました。その時に、気が付いたのが「Nordic Tales」という絵本でした。フィンランドからトーヴェ・ヤンソン、スウェーデンからは、ラーゲルレーブ、そして、デンマークは、アンデルセン。北欧のファンタジー・童話作品をモチーフにjunaidaさんが描き下ろした絵が添えられた作品集。2014年に発表された作品で、junaidaさんは、描く前にそれぞれの国にも旅をされたようです。
この本を入手できたのがやっと先日。大型書店の棚にもなくて、取り寄せとなりました。
実は、この絵本を手に取る前に絵本「の」を手にしました。ちょうど、TOBICHI(ほぼ日のショップ&ギャラリー@青山)で原画展があるということも知って、原画展にまで足を運ぶことが出来たのが何よりうれしいことでした。製本された本でみるのとは違い、原画が本の順番そのままに、壁に並んでいるだけでわくわくします。大きな発見は、原画には、水彩画故の絵筆の跡がくっきりと残っていることでした。そして、紙面の感じがまた絵の雰囲気を柔らかくしているように感じました。絵本でもよく観察すると絵筆の跡はわかるのですが、原画は別格でした。
絵本は、時々、贈り物にしたくなるものに出会います。「の」は、贈り物にしたい、思わず誰かにプレゼントしたくなるような作品でした。贈りたいと思う相手は、いつも違いますが、贈り物にしたいと感じた絵本に出会ったときに、この人に渡したいと、具体的な誰かが思い浮かぶだけでとても幸せな気持ちになります。
今年の出会いの筆頭は、junaidaさんの作品と言えると思います。
来年も、読み応えのある作品に一冊でも多く出会えることを期待して、2019年を締めくくりたいと思います。