2012年10月29日

ヘルシンキ・ブックフェア2012

会場滞留時間 
2012年10月26日(金)16時〜19時
10月27日(土)11時〜15時
10月28日(日)10時30分〜16時

通いました、ブックフェア。まず、入って驚いたのは、規模が小さくなっていたこと。
音楽関係のフェアも同時に同じホールに入り込み(以前から同時開催だったと記憶しておりますが、ここまでがっちりと一緒だったという記憶がなく・・・)、同じホールの奥の方では、アートフォーラムという名のアーティストたちの展示販売ブースがあり、隣のホールでは、食(ワインとチーズ)のフェアが開催されておりました。金曜日の夕方は、仕事の後にのぞきに来たというおひとり様族や、職場の同僚と一緒に繰り出したという感じの方々が多く、週末は、家族ずれが目立っていました。ヘルシンキのブックフェアの楽しさは、本を買わなくても、デビューしたての作家から、ベテラン作家まで、いろいろなテーマでインタビューされたり、討論をしたりという場所が設けられていること。文学作品だけでなく、ノンフィクション作品などにもスポットが当てられて、本の虫たちの興味をそそる講演会が立て続けにあること。新作を発表した作家は、ほぼもれなくサイン会が行われることでしょうか。
相変わらず人気だったのは、絵本作家マウリ・クンナス。サインを待つ人の列がず〜っと伸びていて、流石だなぁと。その他には、ソフィ・オクサネン(日本語訳「粛清」が今年、早川書房より出ています。)あいかわらず、ド派手なお姿で目立つ存在でした。人を見かけで判断してはいけない・・・というのは、こういう方のことを言いますね。一度、翻訳家セミナーに登壇してくださってお話を伺ったことがありますが、きわめて真面目、社会と真正面から向き合っているという印象のある方でした。

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<最新刊 Kun kyyhkyset katosivat (鳩が消えたとき)>

ViiviとWagnerの作者は、席数の多い会場でテレビカメラが収録する講演会。席は満席で立ち聞きをしましたが、作品と作者にギャップがあったように思います。でも、斜に構えたものの話し方は、作品そのものなのかもしれないとも思えました。

異彩を放っているという印象があったのが御年84歳の大ベテランのエーヴァ・キルピ。“Kuolinsiivous” 『身辺整理』27年分の短文日記を日付ごとにテキストを時間軸に沿って並べた作品。老い、終焉をテーマに掲げた作品を携えての参加。一つ一つの言葉にうなずきながら話に耳を傾けている人がいることに熱烈なファンの存在を感じた次第。

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児童書の作家では、シリ・コルが圧倒的な面白さを発揮している人だと思いました。Me rosvolat『僕たち泥棒』シリーズの作者。この作品は、日本にもぜひ紹介したいものの一つですが、思い切って紹介してみようという気持ちにまではなっていなかったのですが、今回、高校生がインタビュアーとなって進行された講演会を聞く限り、こんな人の作品ならぜひ紹介しなければ・・・と力んでしまいそうになるくらい、私にとっては魅力的な作家でした。
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<Me rosvolatシリーズの最新作>

話を聞いて思わず涙しそうになったのは、フィンランド文学協会が仕切った講演会の一つ、ハンヌ・マケラによる『決して手放さない本の数々』。「人間」に興味を持つ人であり、作品にもじっくり腰を据えて向き合っているということがよくわかるお話でした。「星の王子様」と「ムーミン」のお話ももちろん読んでいて(これらの作品を手に取るきっかけは、ちょっと微笑ましいものでしたが)、この二つの作品がなければ「フーさん」は誕生しなかったと思う、というコメントまで飛び出して一人で勝手に感動してしまいました。

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ハンヌ・マケラの近著 <Venäjää aikuisille (大人のためのロシア語)>
エドワルド・ウスペンスキ(チェブの原作者)との交流をまとめた作品<Eetu>もあるほどロシア(ソ連)が常に身近にあったハンヌ・マケラの近著。昨年フィンランディア賞を受賞した、ロサ・リクソムの作品、Hytty nro.6 <個室番号6番>も、ロシアがテーマの作品で、フィンランドにとってロシアが「身近」なのだけれど、知ろう、解ろうと意識している国なのだなということがわかる現象だと思います。日本にとっては、ロシアは、海が間にある分、そして、ロシアの首都がヨーロッパ近くにあるため、その実際の距離に比例して、関心の薄い国なんでしょうね。
posted by みほこ at 23:28| Comment(0) | TrackBack(0) | 秋休み2012 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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