2005年08月16日

ペタヤヴェシの古い教会 (ペタヤヴェシ木造教会)

petajavesi1.jpg


1994年12月のユネスコ世界遺産に文化遺産として登録されたペタヤヴェシの古い教会は、
フィンランド中部地方にあります。

フィンランドで木造教会そのものは、それほど珍しくありませんが、
1763年〜65年に建てられた古い木造教会としての存在は、やはりユネスコに登録されるだけの価値があります。
実は、ペタヤヴェシのごく近くのケウルーという町に、もう一つ、ほぼ同じ時代の古い木造教会があります。こちらには、当時、人々が湖を渡って教会に出かけるときに使ったという教会舟(チャーチボート)も保存されているのですが、建築年が数年遅かったことで、ユネスコ文化遺産には登録されていません。ただ、現在も「博物館教会」として公開されており、フィンランド人にとっては、大切な教会のようです。

さて、ペタヤヴェシの教会、建物の中を歩いてみると、床の木が動かせる状態になっています。これは、当時、教会の床下をお墓にしていた習慣があったことから、この教会も将来、そのような使われ方をするかもしれない・・・ということを考えて、釘などを打たずに建造されたのだそうです。そのため、ベンチなども全て取り外し可能なつくりになっています。

建築当時、フィンランドは、スウェーデンの支配下にありました。当然、教会を建築するのにも、スウェーデン本国の許可が必要だったわけですが、申請をしてもとにかく反応は遅く(3年も4年もかかったといいます)、許可が正式に下りる前に建築は開始したのだそうです。しかも、12人の大工たちによって30日強でくみ上げられたのだそうです。
また、建物の内部を見上げると、天井に3文字の頭文字がいたるところに書き込まれています。これは、どの大工さんがどこ部分を担当したのかという記録。Sの字が逆さまに書かれているところもあって、いかに文字を書きなれている人が少なかったのかを物語るものでもあるのだとか。

さて当時、教会の礼拝にも多くのしきたりがあり、着席する場所もきちんと決まっていました。座る位置を間違えないように、劇場などのように、ベンチの横には、番号が記されています。席順は、裕福な人たちから祭壇に近い前方から順番に座り、男性は祭壇に向かって右側、女性は左側。使用人たちは、2階席へ。着席する場所を間違えると「罰金」を支払わなければいけなかったとか。

petajavesi3.jpg
こちらは、2階席

そのほか、当時の礼拝は何時間もかかりましたので、途中で居眠りをする人がいないよう、長い杖を持った人が通路を行き来。床を叩いたり、あまりにも居眠りがひどい場合には、その人の肩を叩いたりして眠らないよう工夫をしていたようです。

<昔の教会の礼拝の様子は、フィンランドの代表的な絵本作家マウリ・クンナスの絵本「Koiramäen joulukirkko (タイトルを邦訳するなら「犬が丘のクリスマス教会」)で、詳しく描かれています。残念ながら原作は絶版。この絵本は、フィンランドの中世時代の教会、聖オラヴィ教会が、1997年、火事で消失してしまいました。この絵本は、クンナス氏が愛してやまなかった教会を想って描いた絵本で、絵本の売り上げは、再建費用に寄付された作品です。」>
koiramakijoulukirkko.jpg
これがその絵本。杖を持った「人」がおりますね。


また、テレビもラジオも電話もないこの時代、教会は、町の集会所という機能も果たしていて、礼拝の後、町の決め事なども人々が集まる教会で話し合いを持って決めたとか。そのほか、情報交換の場でもあったそうで、そのためにも、人々は必ず礼拝に来ていたようですよ。

現在のペタヤヴェシの教会は、この古い教会から少し離れたところに建っています。ただ、この地の牧師さんが、古い教会を「博物館化」せず、教会としても使いたいという強い希望をお持ちで、夏の間は、この古い教会でも礼拝が行われるほか、結婚式を行う教会としても人気が高いのだそうです。

ちなみにこの教会には、建築当時からオルガンがありませんでした。これは、冬の寒さに楽器が不向きだということだからだそうで、パイプオルガンの替わりに聖歌隊が祭壇に向かって右側の壇上で歌っていたのだそうです。

今は、年間2万人の人が礼拝と観光のために訪れるペタヤヴェシの古い教会。床などに保存のための手はまだ入れておらず、今後は保存方法などが課題になりそうだとか。もちろん、教会として使いつつということが前提なので、なかなか難しい課題になりそうです。建物の中に入ると、現役の建物でありながら、あ、古い建物の中だなという空気が漂っています。
教会の中、外観も素敵ですが、少し離れた位置から木々の間に見え隠れする教会のたたずまいも楚々として素敵だったことを書き添えて、今日はおしまいにいたします。
petajavesi4.jpg
posted by みほこ at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 夏休み2005 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

この記事へのトラックバックURL
http://blog.seesaa.jp/tb/5995305
※言及リンクのないトラックバックは受信されません。

この記事へのトラックバック